学習用資料 · 2026-08-04

初心者でも分かる
電子帳簿保存法

「電帳法」「区分B」「区分C」など、よく聞く言葉をやさしく整理したページです。 税理士との会話のたたき台としてお使いください。 法令の最終判断は、顧問税理士または所轄税務署へご確認ください。

電子帳簿保存法とは何か

電子帳簿保存法(でんしちょうぼほぞんほう)は、 領収書・請求書・帳簿などを、紙ではなくデータのまま保存するときのルールを定めた法律です。

目的はシンプルです。税務調査のときに「改ざんされていない」「探せる」「読める」状態で残すことです。

よくある誤解:電帳法は「全部クラウドに入れればOK」という法律ではありません。 受け取り方・捨て方・探し方によって、守るべきルールが変わります。

よく出る略語

書かれている言葉 読み方・意味 覚え方
電帳法 電子帳簿保存法の略 いちばん一般的な言い方
区分A / B / C 電帳法の対象を3つに分けた整理ラベル このページの中心テーマ
電子取引 最初からデータで受け取った請求書・領収書など 区分Cの対象
スキャナ保存 紙で受け取った書類を撮影・スキャンして電子保存すること 区分Bの対象
電子帳簿等保存 自分が最初から電子で作った帳簿を電子のまま残すこと 区分Aの対象

なお、資料によっては電帳法を 「DENTOKI」 と略して書くことがあります。 法令上の正式名称ではなく、説明用の短縮ラベルです。対外説明では「電子帳簿保存法(電帳法)」が分かりやすいです。

区分A・B・Cを一文で

区分A・Bは任意 区分Cは原則義務
区分A · 電子帳簿等保存

自分が最初からPCで作った帳簿

会計ソフトで作った仕訳帳などを、紙に印刷せず電子のまま残す場合。任意です。

区分B · スキャナ保存

紙で受け取ったものを写真やスキャンで残す

紙の領収書をスマホで撮って電子保存し、紙を捨てたい場合。任意ですが、紙を捨てるなら要件が必要です。

区分C · 電子取引データ保存

最初からデータで受け取った請求書・領収書

メール添付PDF、ネット通販の領収書、カードのWeb明細など。原則すべての事業者に保存義務があります。

たとえ話 区分A:自分でExcelや会計ソフトに書いた家計簿をデータで残す。 区分B:スーパーの紙レシートを写真に撮って残す(紙を捨てるならルールあり)。 区分C:通販サイトから届いたPDF領収書を、そのままデータで残す(義務)。

自分の書類はどれ?判断フロー

迷ったら「最初に手元へ来た形」で考えます。印刷したか、撮影したかではなく、 そもそも電子で受け取ったのか、紙で受け取ったのかが分かれ道です。

flowchart TD
  A[領収書・請求書を受け取った] --> B{最初から電子データで来たか}
  B -->|はい
メールPDF・Web明細・EDIなど| C[区分C
電子取引データ保存] C --> D[データ保存は原則義務] B -->|いいえ
紙で受け取った| E{紙を撮影・スキャンして
紙原本を廃棄するか} E -->|いいえ
紙も保管する| F[従来どおり紙保存でよい
電帳法のスキャナ保存は不要] E -->|はい
電子だけ残して紙を捨てる| G[区分B
スキャナ保存] G --> H[解像度・検索・改ざん防止などの要件が必要] A --> I{自分が会計ソフト等で
最初から電子作成した帳簿か} I -->|はい| J[区分A
電子帳簿等保存] J --> K[紙出力せず電子保存するなら任意で要件を確認]

なぜこの分岐が大事かというと、メールPDFを印刷して紙ファイリングしただけでは区分Cを満たせないからです。 電子で受け取ったなら、データ自体を残す必要があります。

いちばん大切な義務は区分C

いまの実務で最優先なのは区分Cです。法人でも個人事業主でも、電子で受け取った取引データの保存が求められます。

区分Cでやること(超要約)

  1. データを残す(紙印刷だけ・データ破棄はNG)
  2. 改ざんしにくくする(タイムスタンプ、訂正削除履歴、事務処理規程などのどれか)
  3. 探せるようにする(日付・金額・取引先などで検索できる)
  4. 見られる・出せる(画面表示や印刷、調査時のダウンロードに応じられる)

よくある区分Cの例

紙のレシートとスマホ撮影

スマホ撮影は、電帳法で認められています。専用スキャナである必要はありません。 ただし「撮影できれば紙を捨ててよい」とは限りません。

安全な運用

撮影しても、紙原本は捨てない

この場合、スキャナ保存(区分B)の要件を満たさなくても問題になりにくいです。 写真は整理・仕訳のための補助として使えます。

慎重に

撮影したあとに紙を捨てる

この場合は区分Bです。画質、入力期限、検索、訂正削除の履歴、表示環境などに加え、 タイムスタンプまたは入力期限内の保存を客観的に証明できる時刻証明が必要です。 検索とアプリ内の変更履歴だけでは、紙を廃棄できる条件を満たしたとはいえません。

トリシワケとの関係

トリシワケは、領収書の撮影・PDF取込、原本保存、検索、仕訳下書きを助けるサービスです。 電帳法そのものを自動で完了させるものではなく、法令に沿った保存・整理を支援する道具としてお考えください。

区分 トリシワケでできること 利用者側で必要なこと
区分C
電子取引
受け取ったPDFを変換せず保存、検索、閲覧、まとめてダウンロード メール等の受領経路を漏れなく取り込む。事務処理規程を整える。サービス解約後は手元で法定期間保管する
区分B
紙撮影
スマホ写真の保存、検索、仕訳との紐づけ 当面は紙原本を保管する運用が安全。紙を捨てる場合はスキャナ保存要件を別に確認
区分A
電子帳簿
仕訳データの作成支援 本帳簿は会計ソフト側の運用が中心

トリシワケの利用だけで「電帳法対応が完了する」わけではありません。 原本の保管方針や事務処理規程など、事業者ごとの運用確認が必要です。最終確認は税理士へご相談ください。

用語ミニ辞典

用語 やさしい意味
真実性の確保 データを後から勝手に書き換えにくくすること
可視性の確保 必要なときに探せて、読める形で出せること
タイムスタンプ 「その時刻にそのデータがあった」ことを示す電子的な刻印
事務処理規程 訂正・削除を勝手にしないための社内ルール文書。中小ではここから始めることが多い
検索要件 原則は取引日・金額・取引先に加え、日付・金額の範囲指定と2項目以上の組み合わせ検索。一定の小規模事業者等には検索機能が不要となる特例がある
猶予措置 要件整備が追いつかない場合の一時的な救済。データを保存しなくてよい制度ではない
JIIMA認証 ソフトウェアが電帳法要件に適合していることを示す民間認証。あると説明はしやすいが必須ではない

参考リンク

  1. 国税庁:電子帳簿保存法一問一答(最新Q&A掲載ページ)
  2. 国税庁:電子取引関係Q&A(令和8年7月)
  3. 国税庁:スキャナ保存関係Q&A(令和8年7月)
  4. トリシワケ トップページ